三菱UFJ国際投信、eMAXISシリーズ「eMAXIS Slim」追加で低信託報酬競争に追随
昨今のインデックスファンドにおける信託報酬低下競争は、2015年9月の楽天証券における三井住友AMのDCファンド一般販売開始をきっかけとして、既存ファンドを含め信託報酬の変更で対応するニッセイAMの<購入・換金手数料なし>シリーズや、はじめから低信託報酬にて新規参入するアセットマネジメントOne(旧DIAM)の「たわらノーロード」シリーズ、大和投信の「iFree」シリーズを主軸として進んでいます。
これ以前に低コストインデックスファンドとして名を馳せた三井住友トラストAMの「SMTインデックス」シリーズ、三菱UFJ国際投信の「eMAXIS」シリーズ、野村AMの「Funds-i」シリーズは最近では販売会社の拡充に力を入れているような印象がありましたが、今回動きがありました。
『eMAXIS Slim(イーマクシス スリム)』は、他社類似ファンドの運用コスト(注)に注意を払い、機動的に信託報酬を引き下げることによって、今も、そしてこれからも業界最低水準※を目指し続けるインデックスファンドです。
(インデックスファンド『eMAXISシリーズ』に、業界最低水準の運用コストをめざす新たな仲間、『eMAXIS Slim(イーマクシス スリム)』を追加 [PDF])
三菱UFJ国際投信が、eMAXISシリーズとして新たに「eMAXIS Slim」4ファンドを追加してきました。特徴として、
- 2017年2月27日(月)に設定
- 取り扱いは主要ネット証券(SBI、楽天、マネックス、カブドットコム[3/6より])
- 伝統的4資産クラス(日本/先進国、株式/債券)
- 設定時点の信託報酬は全て他社ファンドの最安水準と同じ
- ファンド純資産総額が500億円以上の部分は0.05%、1000億円以上の部分は0.1%(それぞれ税抜)信託報酬を引き下げ
- 他社ファンドに追随して信託報酬を機動的に引き下げ予定
- マザーファンドは「eMAXIS」シリーズの同資産クラスと共通
という点があげられます。ファンド資産額が増えればわずかに信託報酬が最安となる設計です。また、マザーファンドが実績ある「eMAXIS」シリーズと共通であることから、設定当初を除けば運用実績の予測もしやすいでしょう。
ただし、逆に言えばマザーファンドが共通であるにもかかわらず信託報酬差のある2本の同一シリーズに属するファンドが併売されるということになり、以前から積立投資をしていたものの扱いなどを考えると一歩劣る対応ともいえます。これは、
の2点が考えられます。
前者は、今回のeMAXIS Slimを特に信託報酬に敏感なネット証券利用者をターゲットにしたある種特別なファンドと位置づけ、それ以外のチャネルでは引き続きeMAXISシリーズを推していくということかと想像しています。
後者は、ネット窓口での販売*1とはいえ地方銀行などのチャネルではこれ以上の信託報酬低下が困難となっている可能性があるかと思っています。
また、今回の信託報酬設定をみると、他社ファンドに追随+規模が大きくなれば一部を還元というスタンスをとるように見えますので、本ファンドから価格競争を仕掛けるという展開はないように思います。
それでも、実績に裏打ちされた低コストファンドが設定されるというのは喜ばしいことに違いありません。このeMAXIS Slimに対し、他社から何か動きがあるのかどうかも含め、今後もゆるゆるとウォッチしていきたいと思います。