インデックス・ウォッチャー

市況をゆるゆると眺めながら、インデックス投資をコアとしたコツコツ資産形成を記録していきます。

あえての国民年金追納

 この夏、金額はわずかなりとも会社への貢献度から妥当どころか過分かもしれないボーナスなるものをいただいた私が、その金額をどうするか。

 「何か買うの?」――いえ、特に今必要なものはないですね。
 「じゃ、貯蓄?」――そうしたいのはやまやまですが。
 「ということは投資?」――ブログ的にはそれが正解ですが、そうでもありません。

 この夏のボーナスの使い道、それは国民年金。しかも学生時代の分の追納というなかなかに、いやだいぶ渋いチョイスをしてみました。

 なぜそんな考えに至ったか、書いてみたいと思います。


 まず、私は学生時代、おそらく同年代の大多数と同じように国民年金の「学生納付特例制度」を活用して保険料の納付を猶予されてきました。
 この制度と「保険料免除」の違いとして、学生納付特例が認められている期間は

  • 障害基礎年金や遺族基礎年金における受給資格の算入対象となる
    (学生時代に重い障害を負った時には一銭も保険料を納付していなくても年金がもらえる←重要)
  • 老齢基礎年金における受給資格の算入対象となるが、年金額計算の対象とはならない
    (全額保険料免除の場合、国庫負担分、現在は満額の1/2が年金額計算に反映される)
という扱いとなります。

 本筋からは離れますが声を大にして言います。
「このページをご覧いただいている学生の方で、万が一学生納付特例の申請をされていない場合は今すぐ申請しましょう!!」
申請は日本年金機構このページにあるPDFファイルに必要事項を記入して市町村役場に提出(郵送可)するだけ。これだけで障害という不測の事態に対する大きな備えが増えます。

 話を戻します。あくまでこの制度は保険料納付が猶予されている状態であり、猶予されたとき(月単位)から10年間の間に保険料を後から支払う追納制度が存在しています。
 ちなみに追納額は猶予から2年間はもとの保険料と同額ですが、それより前のものは運用利益分の加算額が発生します。

 働き始めてからしばらくの間はすっかり忘れていましたが、あるとき「ねんきん定期便」が郵送されてきてこの状況を思い出しました。そういえばそんなものもあったなーと。
 ただその時は、金銭的に払えないとは言わないものの、払っていいことがあるのかわからないし、加算額が多そうなのと、積極的に払いにいくモチベーションがなくそのままほったらかしたのを覚えています。

 さらに一年後、つまり今年。状況は変わっていました。

 まず、インデックス投資を始めて少しはお金のことについて考えるようになりました。
 この投資法は少なくとも10年以上の中長期資産形成、特に確定拠出年金はその名の通り老後のための資産形成を目的としています。60歳時点でどのくらいお金が必要なのか、などと計算するわけです。
 そうしていると、「果たして自分の寿命はいかほどか」ということを考えないわけにはいきません。資産の取り崩しを計算する時には「何年で」資産を使い尽くすかを考える必要があるためです。
 ひとまずは平均寿命などで計算を行うわけですが、今のところ結婚する予定もない私の場合、何かの間違いで思い切り長生きしてしまうとどれだけ頑張ってつくった資産でも底をつき、なおかつ身よりも何もないというたいへん悲惨な状況で呪詛の言葉を吐いている自分が想像できました(^^; いわゆる長生きリスクですが、今の私はこのリスク許容度が非常に低いようです。
 この点、国民年金はその性格上たとえ受給開始年齢が上がっても終身保険でなくなることは考えづらい(有期年金などにすると今度は生活保護等にしわ寄せがくる)ので、長生きリスクの低減に役立ちます。現行制度のまま支給開始年齢になったとして、私の場合追納することで8〜9万円/年の支給額増大が見込めるようです。追納額からこの額を割ると、だいたい10年支給されれば収支が合う計算です。支給開始年齢が70歳になったとしても、80歳以上まで生きる可能性は無視できるような小ささではありません。
 また、民間保険会社にも終身年金保険は存在しますが、1/2もの国庫負担という大きな優位性があるものを放っておいてそちらを優先させるのはもったいないように考えます。

 次に、加算額について。今年追納する場合の追納額日本年金機構のサイトに掲載されているのを見て、私の追納対象となる年度の追納額は今年の保険料(15,040円)より安いということを知りました。もともとの保険料が安かったということです。国民年金には任意加入制度があり、60〜65歳の間任意加入して保険料を納めれば今回追納しなくても満額を受け取ることができるのですが、その時の保険料が何かの影響でインフレ率を超えて上がっていることもないとはいえません。第一60歳になったときにまだ元気に働ける状態か、元気でも職があるかはわかりません。ならば元気で職もある今、支払っておくのもアリだと考えます。

 さらに、国民年金への納付額は全額社会保険料控除の対象となるため、納付した年の所得税と納付の次の年の住民税計算から外れます。減税額は所得によりますが、追納額が大きいので減税額も大きくなります。
 サラリーマンの私の場合、年末調整または確定申告を行えば(超重要)過剰に源泉徴収されていた所得税が還付され、次の年に源泉徴収される住民税が減額されます。これを行うのは、個人的に私にとって今年が都合が良いのです。というのは、現在会社の社宅に住んでいるのですが、今年度末までに引っ越す予定があるため。還付された所得税を引っ越し代にまわし、家賃が上がってしんどいはずのところを住民税減税でカバーする、ということができます。
 ちなみに、減税効果をより大きくするためには社会人一年目ではなく二年目以降に追納を行うことをおすすめします。というのは、通常社会人一年目は四月から働き始めると思いますが、税計算に使う所得は暦年、つまり一月〜十二月で区切るため、社会人二年目以降よりも所得が少なくなります。すると、課税倍率が一定の住民税はいいとして超過累進課税(所得の多い人は課税倍率も上がる)を採用している所得税に適用される課税倍率が二年目以降より小さい可能性があり、所得税の減税効果が小さくなるかもしれないためです。

 最後に、これはあくまでおまけですが、払いに行くモチベーションとしてもう一つ。
 昨年末、高還元率で有名な漢方スタイルクラブカードに待望のVisaブランドができたので入会したのですが、このカードでセブンイレブンやイトーヨーカドーで使える電子マネーnanacoへチャージを行うと、現金換算1.75%相当のポイントが付与されます。国民年金保険料は納付書1枚あたり30万円を超えるような支払い方法を希望しなければ(重要)コンビニの収納代行で支払うことができ、nanacoはセブンイレブンでの収納代行に(nanacoポイントはつきませんが)使うことができますので、国民年金保険料の追納額に対して1.75%、私の場合は1万5千円ほどのキャッシュバックを受けられることになります。追納額一月分が戻ってきます。
 正直、このポイント付与がいつまで行われるかがあやしい(手数料収支の関係でカード会社は赤字を被るはずです)なので、使える内に使っておくべき! なのです。

 というわけで、いろいろ考えているうちに、

  • 「払っていいことがあるのかわからない」→想定以上に長生きした自分が後悔することを防げる、、かもしれない
  • 「加算額が多そう」→加算額は多いが当時の保険料が安いので、トータルで現在の保険料より安い
  • 「積極的に払いに行くモチベーションがない」→減税効果を一番うまく使いこなせるのは今年な気がする(+今ならコンビニ収納代行でクレジットカードのポイントゲット)
という結論に達し、国民年金機構に追納の申し込みをし(このページのPDFに必要事項を記入し日本年金機構に提出(都道府県ごとの事務センターに郵送も可))、9月末までに完納しようとちびちび支払っております。現在進捗率40%。

 人それぞれの考えがあるとは思いますが、そのうちの一つということで。
 以上、長文でしたがお読みいただきありがとうございました。