インデックス・ウォッチャー

市況をゆるゆると眺めながら、インデックス投資をコアとしたコツコツ資産形成を記録していきます。

超低金利時代、債券ファンドの必要性は?

 日経電子版に、「超低利下の分散投資、債券組み入れは見直すべきか」という記事が出ていました。冒頭を引用します。

 値動きが穏やかで安定的な利息収入が見込める債券は、分散投資に欠かせない資産と言われてきた。だが、世界的な金利低下で投資魅力は低下。金利が反転上昇すれば損失を被る懸念もある。それでも分散投資では、債券を組み入れた方がいいのだろうか。


 私の場合、リスク資産の半分は債券インデックスファンドとしています。インデックスファンドですから、債券市場全体の値動きに連動するよう様々な既発債券を組み入れています。
 その状態で、新発債券の利回りが上昇すると、市場で取引されている発行体格付けや満期時期が同等の既発債券は、
(既発債券取引価格+満期までの既発債券利子)≒(新発債券取引価格+満期までの新発債券利子)
とならないと買い手がいなくなります。そのために、既発債券の価格は下がることになります。
 よって、既発債券を組み入れているインデックスファンドの基準価格は低下していきます。

 昔私はなかなかこのあたりの仕組みが理解できなかったことがあったので、少し細かく書いてみました。
 日本債券クラスを代表する指数、NOMURA-BPI総合の利回りは0.35%程度です。それに対して、今私が積み立てているファンドの信託報酬は0.34%(税込)程度。現状、インカムゲインとしてはほぼゼロリターンです……。正直、今の状態で他人に日本債券クラスへの投資をすすめるなら、利回りの変化にある程度追随しながら、最低利率保証が存在するうえ、途中解約しても元本保証という非常に恵まれた条件の個人向け国債・変動10にします*1
 また、修正デュレーションが8年程度なので、利回りが一気に1%上昇すると指数としては8%程度低下するということになります。
 また、先進国債券クラスとして代表的な
シティ世界国債インデックス(除く日本)の利回り・修正デュレーションはざっくり1.1%・7年程度*2。これに為替リスクが加わります。
 新興国債券(JPモルガンGBI-EMグローバル・ダイバーシファイド)では利回り6%程度、デュレーション5年程度ですが為替リスクは先進国より高いとされます。

 このデータを見て、債券インデックスファンドで収益を上げられるかと考えると、短期的には厳しそうな気がします。
 では、債券ファンドに投資する意味なんてないのでしょうか?

 先ほどの記事にも取り上げられていますが、株式と債券は値動きの相関性が低い傾向があります。例えば、eMAXISシリーズの各ファンド間相関係数を見ると、日本債券ファンドと他ファンドの相関係数は最大でも0.3程度、マイナスが多くなっています。外国債ファンドはやや他資産クラスとの相関性が高いものの、分散効果はあるように思います。

 ただ、私としてはこの分散効果以外に、中長期的に見れば債券市場に何が起こるかなんてわからないとも思っているのです。いったん反発した利回りが上昇しつづけるのか、乱高下するのか、もしくはこのまま抑制され続けるのか。
 さらに、私のように長期を目指した積立投資を行っている場合、一時的にファンド価格が低下してもその間に追加の買付を行うため平均保有価格が低下する効果もあり、価格の低下は絶対に避けるべきというわけでもないのです*3

 そんなことを思いながら、私は今月も投資を行いましたし、来月も同じように投資していきたいと思っています。アセットアロケーションを変更する場合は、じっくり吟味をしていきます。

*1:私の場合、みなし無リスク資産として個人向け国債・変動10を購入しています。日本債券ファンドはリスク資産の一部として保有しています。

*2:本データを見つけられなかったため、eMAXISのサイトを参考にしています。新興国債券も同様です。

*3:ファンド売却時には、価格の低下は絶対に避けたいところではありますが、そのタイミングを読めるわけでもないため諦めて機械的に無リスク資産に移していくことになるでしょう。