インデックス・ウォッチャー

市況をゆるゆると眺めながら、インデックス投資をコアとしたコツコツ資産形成を記録していきます。

NISAの使い方を考えてみた。

 いつの間にか12月に入り、今年も残りわずかとなりました。来年から始まるNISA(少額投資非課税制度)について、1月から使い始めるのであればそろそろ方針を決めておきたいところです。(制度がわりと複雑ですし絶対に使わなければならないものでもないので、使わないという選択肢も大いにありかと思います)
 というわけで、少し考えてみました。


 私は現在メイン証券口座としているSBI証券でNISA口座を開設済みです。
 目標ポートフォリオ現行のものを維持し、基本的には積立投信により毎月定額を投資していく予定です。
 となると、考えられるのは次のパターンかと思います。

  • NISA口座で投信を積立
    • 各資産クラスのファンドを別個積立
    • 積立にバランスファンドを活用
  • NISA口座で投信を積み立てた後、NISA口座でETFへリレー投資
  • 一般口座で投信を積み立てた後、NISA口座でETFへリレー投資(ETFが存在しない資産クラスはNISA口座で投信を積立)
    • リレー先として国内ETFを活用
    • リレー先として海外ETFを活用
  • NISA口座は活用せず現状維持

 というわけで、重要なのはETFへのリレー投資を行うかどうかで投信の積立をどの口座で行うかが変わってくるということです。NISAでは投資枠100万円の再利用が不可能なため、リレー投資前の積立までNISA口座で行うとリレー後に枠を倍額使うことになります。まあ年間100万円の枠を使い切るかというとそうでもない気がしますので、投信・ETFともNISAを使っておこうと思っています。もし投資額が大きくなっていて枠からはみ出るのがいやならその分は次の年にでもリレーすればよいことです。

 ETFを使うときのメリットはコストの安さにありますので、計算してみます。
 SBI証券に関しては2014年の国内ETF買付・売却手数料は無料、海外ETF買付手数料はキャッシュバックということですので、今回考慮しません。
 現在積立対象としている投信と、対応する国内ETFの信託報酬を比較します。

資産クラス 投信銘柄 投信信託報酬(税抜) 国内ETF銘柄 国内ETF信託報酬(税抜)
日本株式 日本株式インデックスe 0.37% TOPIX連動型上場投資信託(1306) 0.11%
先進国株式 外国株式インデックスe 0.5% iシェアーズ 先進国株ETF(1581) 0.25%
新興国株式 eMAXIS新興国株式インデックス 0.6%(留保額0.3%) iシェアーズ エマージング株ETF(1582) 0.18%
実質(資産加重 *1 ) - 0.234% - 0.095%
実質(投信マイレージ考慮) - 0.189% - 0.095%

 国内ETFの銘柄は特に何も考えず出来高の多めなものを引っ張ってきました。これ以外だと先進国債券のETFもある(上場インデックスファンド海外債券(Citigroup WGBI)毎月分配型(1677)、信託報酬0.25%(税抜))のですが、毎月分配かつ1単元の金額が50万円程度と大きかったので比較からは除外しています。また、日本REITについてはニッセイの<購入・換金手数料なし>ニッセイJリートインデックスファンドがほぼETFと信託報酬差がなく、投信マイレージサービスを考慮すると投信積立が有利です。
 投信マイレージサービスによるポイント還元分を差し引くと、ETFへのリレー投資で得られる信託報酬のメリットは(私の目標ポートフォリオの中では)0.1%弱となります。
 この信託報酬差が、リレー投資や分配金の再投資にかかる手間、購入・売却時の乖離と釣り合うかどうかで判断すればよいことになります。(リレー投資前の売却による利益への課税は、投信をNISA口座で積み立てる前提なので今回は考慮しません)
 全体の信託報酬(投信マイレージ差し引き後で約0.4%)が20~25%削減できることになるので効果は大きいと判断します。乖離は指値での買付でフォロー、再投資もNISA口座上で適当なファンド(世界経済インデックスファンド?)を買い付けて調整しましょう。

 また、海外ETFでも同様に比較してみます。

資産クラス 海外ETF銘柄 海外ETF信託報酬(税抜)
米国株 バンガード トータル ストック マーケット ETF (VTI) 0.05%
先進国株式 iシェアーズ MSCI EAFE ETF(EFA) 0.34%
新興国株式 バンガード FTSE エマージング マーケッツETF(VWO) 0.18%
実質(資産加重) - 0.086%

 VTIの信託報酬が非常に安いので、区割りを一部変更して計算していますが、EFAの信託報酬が高いため、国内ETFに対して0.01%も信託報酬が下がらずいまいちですね。
 海外ETFの場合は米ドル等決済通貨の取り扱いが必要であることなど、もう少し手間(と手数料)がかかることと、一般口座では可能だった確定申告による外国税額控除がNISA口座では不可(梅屋敷商店街のランダム・ウォーカーさん記事より)とのことですので、配当時に源泉徴収される現地税は取り戻せないことになります。
 これを考えると海外ETFをわざわざ使うこともないように思えます。流動性が高いのはうらやましいですが、これは国内ETFがもっと盛り上がることを期待しましょう。

 また、リレー投資を行う予定があるのならば積立投信においてバランスファンドの利用はしないほうがリレーをしやすいかなと思っています。リレー先のない債券ファンドを買い直すするためにNISAの枠を使うのもいまいちですので。NISA口座上で個別ファンドを積み立てることのデメリットであるリバランスのしにくさは、目標に対してマイナスとなっている資産クラスを買い増すノーセルリバランスでの調整を試みようと思います。

 というわけで、NISA口座の活用方針は以下のようにします。

  • 現状と同条件の資産クラス別投信の積立をNISA口座上で行う。
  • NISA口座上で、投信→国内ETFへのリレー投資を検討する。投信に信託財産留保額が設定されている場合、リレー頻度などに留意する。
  • NISA枠使用の優先順位は積立投信>リレー投資であり、リレー投資を行う際には当年中の投信積立がNISA口座上で行えるようになっていることを確認する。NISA枠が不足する懸念がある場合、次年NISA枠を利用したリレー投資などを検討する。

 ここまでつらつら書いておきながらなんですが、リレー投資はできてもできなくてもかまいません。それよりも着実に積立を行うことを優先に、NISA制度に振り回されるようなことなくコツコツ資産形成を行っていきたいと思います。

*1:Σ[各資産クラスの信託報酬×目標ポートフォリオに対する各資産クラスの比率]