インデックス・ウォッチャー

市況をゆるゆると眺めながら、インデックス投資をコアとしたコツコツ資産形成を記録していきます。

iSharesのETF-JDR、SBI証券でも軽減税率適用サービス対応開始

 このところ、インデックス投資関連でいいニュースが連続しています。まず一つ目。

 海外ETFでありながら、JDRの仕組みを活用し東証での取引が可能になっているiSharesETFシリーズ。特に、0.18%という低経費率を誇るiシェアーズ エマージング株ETF(MSCIエマージングIMI)や、フロンティアマーケットに簡単に投資可能なiシェアーズ フロンティア株ETF(MSCIフロンティア100)など、米国籍ETFを簡単かつ国内株式取引と同等の低手数料で買い付けられるという魅力的なものもありましたが、私は今まで手を出していません。その理由のうち最大のものは、米国籍ETF-JDRの分配金にかかる税率が高いことです。

 しかし、その問題が解決に近づくサービスが始まっています。


 なぜ米国籍ETF-JDRの分配金にかかる税率が高くなるのかというと、まず日米租税条約に基づく軽減税率が適用されないのです。結果として、分配金に対する米国での税率が30%となります。
 さらに、特定口座では日本側での課税が入るわけですが、ここにさらにもう一つ課題があります。通常であれば確定申告を行い外国課税控除することで、日本における所得税に相当する額、またはその一部を還付してもらえますが、分配金の受け取り方式として「株式数比例配分方式」を選択している特定口座やNISA口座について、ETF-JDRの分配金を外国課税控除することはできません。
 そのため、特定口座で米国籍ETFJDR方式で購入する場合の米国と日本の税率合計は、
  30% + (100-30)% × 20%(復興特別所得税を考慮せず) = 44%
と高率となり、NISA口座でも30%が差し引かれるということになります。

 しかし、この状況が変わってきました。先月に野村證券がこんなリリースを出してきました。

現在、「iシェアーズETF東証上場シリーズ」のうち、米国籍の外国ETFを信託財産とするJDR(有価証券信託受益証券)の分配金は、米国で30%の源泉税が徴収されております。
このたび、当該JDRの受託者である三菱UFJ信託銀行(以下、「受託者」)が、2015年9月25日以降を基準日とする分配金について、米国での源泉税徴収時に日米租税条約に基づく軽減税率(10%)を適用するサービス(以下「本サービス」)を開始することとなりましたのでご案内いたします。

【株式】「iシェアーズETF東証上場シリーズ」の分配金に係る米国現地源泉税に対する軽減税率適用の開始について - 野村ネット&コール

 これは、先ほど言っていた2つの問題のうち米国側での課税に対する変更点です。受託者が行うサービスということで、他の証券会社でも追随する動きが出るかと思っていると、SBI証券でも同様のリリースが出てきました。おそらく他の証券会社でも対応するところが出てくるかと思います。

 このサービスを受ける際には、米国歳入庁への個人情報提供が必要となるため「同意書」を提出する必要があることに注意が必要です。特にSBI証券の場合、現状では電話で書類を取り寄せる必要がありますので、お手続きをお忘れなく。

 これで、株式数比例配分方式で受け取る分配金の米国+日本の税率は、課税口座で28%(復興特別所得税を考慮せず)、NISA口座で10%となります。
 まあ以前に比べるとだいぶ安くなったと思いますが、例えば配当金が年間で総資産の3%とすると、国内ETFにおける税率との差8~10%は0.24~0.3%に相当します。これを上回る総経費率の小ささや価格の安定度が必要になってきます。
 そのあたりを考え出すと頭から煙が吹き出す、、、というのも、ETFに投資できていない理由の一つです(笑)