インデックス・ウォッチャー

市況をゆるゆると眺めながら、インデックス投資をコアとしたコツコツ資産形成を記録していきます。

ROE・利益基準の「JPX日経インデックス400(JPX日経400)」

 その存在は早くから噂されていたROE基準の東証インデックスがついに発表されました。来年1月より公表されていきます。
 日本経済新聞の記事を引用します。

日本経済新聞社と、日本取引所グループ東京証券取引所は6日、共同で新たな株価指数を開発したと発表した。新指数の名称は「JPX日経インデックス400(略称はJPX日経400)」で、東証に上場する全3400銘柄の中から企業の資本効率を示す自己資本利益率(ROE)などを使って投資家にとって投資魅力の高い400銘柄を選定。財務や経営が優れた日本株市場のけん引役となる銘柄の値動きを算出・公表していく。

(新株価指数、来年1月から公表 日経と日本取引所 :日本経済新聞)

 ニュースリリース(PDF)を参照すると、詳細な情報を手に入れることができます。それによると、銘柄選定・組入基準は次の通りです。

  • 適格基準によるスクリーニング
    • 原則上場後3年以上が経過
    • 直近3期で債務超過の年なし
    • 直近3期連続で営業or最終赤字でない
    • 整理銘柄でない
  • 市場流動性指標によるスクリーニング(直近3年間の売買代金・選定基準日の時価総額)
  • 上記スクリーニングで残った1000銘柄のスコアリング
    • 3年平均ROE: 40%
    • 3年累積営業利益: 40%
    • 選定基準日の時価総額: 20%
  • その他加点(加点による銘柄の変更は多くても10銘柄程度)
    • 独立した社外取締役の選任(2人以上)
    • IFRS採用(ピュアIFRSを想定)または採用を決定
    • 決算情報英文資料のTDnet(英文資料配信サービス)を通じた開示
  • 上記スコアリングにより400銘柄を選定
  • 前年度採用銘柄は優先的に採用(バッファルール)
  • 6月最終営業日が選定基準日、8月最終営業日に銘柄入れ替え
  • 銘柄組入比率は基本的に時価総額基準だが最大1.5%とするキャップ制

 銘柄は400銘柄、時価総額基準でもキャップが存在するのは分散性の観点から好ましいかと思います。

 ニュースリリース(PDF)にはTOPIXとのパフォーマンス比較(2006年2月~)や入れ替え銘柄数、業種別銘柄数・指数用時価総額も掲載されていますので、ご興味のある方はぜひご覧ください。要点を抜き出しますと、

  • 2006年8月末~2013年8月末の平均月次リターン(年換算)はTOPIXの-3.4%に対してJPX日経400は-2.5%
  • 同期間において、JPX日経400の対TOPIX累計超過リターンは約+6.2%。
  • 同期間において、1年ごとに38~63銘柄、片道時価総額ベースで5.6~10.6%が入れ替え(その他加点およびバッファルール適用なしの場合)

となっています。

 リターンは確かにTOPIXよりもよい(下げ相場でトントン、横ばい~上げ相場で強い)のですが、1年ごとに10%以上の銘柄が入れ替わる可能性もあるようです。選定基準がアグレッシブなだけに、このインデックスに連動して株式現物を組み入れるファンドができるとすれば信託報酬以外の株式売買コストがTOPIX連動ファンドより高い可能性も考える必要があるかと思います。
 JPX日経400の先物などができれば、それを主な投資先として活用するインデックスファンドなりETFなりが出てきそうです。また、アクティブファンドであればこれをベンチマークとしてさらに上回るリターンを目指してほしいと思います。

 これと連動しつつ、現状のTOPIX連動インデックスファンドと実質コストが同等またはさらに低いインデックスファンドorETFができれば売れるでしょうね。私だったら買います。そんなファンドの登場を心待ちにしています。